OPNDRでは、多種多様な分野・対象の研究があるなか、発達症をもつ人の支援を考える上で、重要なヒントあるいはエビデンスとなる研究を推進し、実践に役立てることを目指します。外部の第一線の研究者にご協力頂きながら、心理学、脳科学、精神生理学、疫学などの様々な手法を用いて、発達症をもつ人の特徴や二次障害の治療に関する研究を行っています。現在扱っている主要な研究テーマは、①他者理解の困難さ、②自己認知の特徴、③ストレスやトラウマ、④スクリーニングの4つです。
1. 他者理解の困難さ
初期の社会性発達を支える視線のやりとりや感情の理解と表出を中心に、自閉スペクトラム症(ASD)を持つ人の対人面での困難さの原因について調べます。また、これらの特徴の背景となる要因(特異な感覚処理など)や社会適応への影響について検討し、ASDの非定型発達のメカニズムを解明することを目指します。
2. 自己認知の特徴
ASDを持つ人が自分自身をどのようにとらえ、そのとらえ方が社会適応や幸福感にどのように影響するのかを調べます。自分をどのような存在として認識しているかや重視する価値観はその人の感情経験や行動に大きな影響を与えます。このような特徴を明らかにすることによって、より適切な介入方法のヒントを得ることを目指します。
3. ストレスやトラウマ
ASDを持つ人は不安などのストレス反応が高く、比較的軽微なものや周囲の人から見ると意外な出来事によってトラウマが生じ、日常生活に困難をもたらすことがあります。ASDを持つ人のストレスやトラウマの原因と軽減方法を明らかにすることを目指します。
4. スクリーニング
外部機関の協力を得ながら、教育現場で用いることのできる発達症やメンタルヘルスについてのチェックリストを作成しています。児童・生徒の気になる特徴を整理し、早期発見・早期対応に活用できる簡便な方法を開発・普及することを目指します。