7月5日(日)に京都大学ASD Projectとの共催で「From Sensory to Social? -自閉スペクトラム症を持つ人の感覚の特徴と社会認知機能との関わり- 」と題したシンポジウムを行いました。
初めに、当機構に主任研究員として在籍していた魚野(現国立精神・神経医療研究センター)が感覚処理の特徴と社会認知機能に影響を及ぼすルートについての簡単なレビューを通して企画趣旨説明を行いました。
続いて、ASDの感覚処理とコミュニケーション能力の両方について研究を行っている3名の先生方にご講演いただきました。
和田真先生(国立障害者リハビリテーションセンター研究所)には、ASDにおける触覚の過敏性には感覚の時間分解能の高さが関わっていることや身体認知の特性が道具使用の苦手さに関わっている可能性についてお話しいただきました。
吉村優子先生(金沢大学人間社会研究域学校教育系)には、定型発達児でみられる聴覚刺激への初期の神経活動と言語発達との関連がASD児ではみられないこと、その背景となる神経メカニズムについてお話しいただきました。
熊崎博一先生(国立精神・神経医療研究センター)には、嗅覚研究全般の進展や方法論についてレビューしていただき、ASDの嗅覚の特性が早期発見、社会不適応、介入効果などの様々な側面に影響する可能性についてお話しいただきました。
最後に、総合討論ではASD Projectの十一元三先生、稲富宏之先生、義村さや香先生、入江啓輔先生が加わり、ASDの感覚特性と対人相互作用の問題について多様な視点から議論が行われました。
Zoomを用いたシンポジウムということもあって、京都近郊だけでなく全国各地から42名の方に参加していただき、オンラインミーティングの利点も感じました。
講師・討論者の先生方、参加者の皆様にお礼申し上げます。
次回は「ASDを持つ人の問題行動をどのようにとらえればよいか(仮題)」についてのシンポジウムの開催を今秋に予定しています。