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活動報告:京都児童精神医学研究会(第17回)がオンラインで開催されました

2020.9.30

投稿者:管理者

8月8日(土)に、新型コロナウイルス感染拡大防止の為延期させていただいておりました京都児童精神医学研究会を開催しました。当日は100名以上の方にご参集いただき、盛会となりました。

 

一般公演では、愛媛大学大学院医学系研究科の河邉憲太郎先生にネット依存の現状および予防・介入についてご講演いただきました。

 

はじめに、青少年の1~2割がネット依存を示し、増加傾向であること、結果として睡眠障害につながりやすく、ADHDを持つ児童の場合でハイリスクであるなどネット依存の現状について報告していただきました。ネット依存の増加に対処するため、他国では強制的な時間制限やマーケティング規制などの法的な規制を取り入れているところもあるようです。保護者の対応としては、子どもと話し合ってルールを作成し順守すること、依存になる前からのペアレンタルコントロールやゲームをいつから使用させるのかのタイミングの見極めが重要であることをお話しいただきました。また、親の側に立たず、子どもの通院のモチベーションを高め、親子それぞれの理想を確認してアドバイスをする必要があり、ゲーム依存に隠れた問題がないか探る、という臨床家のとるべきアプローチを提示していただきました。

 

続いて、特別講演として、加賀こころの病院院長の棟居俊夫先生に自閉スペクトラム症と双極性障害の関係についてご講演いただきました。

 

 

はじめに、併存症を理解することで早期発見につながり治療法の選択が変わること、診断を言語的なコミュニケーションに頼る精神疾患特有の問題についてお話いただきました。次に、スウェーデンの個人識別番号を用いた追跡研究から、自閉スペクトラム症群と双極性障害群はそれぞれ対照群と比べてもう一方の障害を持つ割合が多いというデータを示していただきました。また、自閉スペクトラム症と双極性障害の症状の重なりについても説明していただきました。最後に、症状を自閉スペクトラム症の随伴症状よりも双極性障害の併存と考える手がかりとして、症状の出現の仕方が数日以上のエピソードの繰り返しで直接的な誘因がないこと、睡眠時間や使用金額の変化など客観的にとらえられる指標があること、家族歴があること、状況に依存せず症状が存在すること、青年期の発症であること挙げて、臨床で両者の併存に注意することの重要性を指摘していただきました。

 

研究会終了後に実施したアンケートではオンラインで感じたメリット・デメリットについてお聞きしましたが、移動や場所を考える必要がない、リラックスして受講できる、感染症の心配がないといったポジティブな感想を持たれた方が多いようでした。一方で、参加者同士の交流が難しい、質問をしづらい、接続環境の問題などのオンラインならではの問題もご指摘いただきました。講演前後にブレイクアウトルーム機能を用いて少人数で話せる機会を作れば参加者の皆様の間の交流も可能になるかもしれません。

次回の開催をどのような形で行うかは決まっていませんが、状況を見極めて対面・オンラインのハイブリッド開催など柔軟に対応できればと考えております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

*本シンポジウムは、京都児童精神医学研究会、特定非営利活動法人神経発達症研究推進機構、京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻 文部科学省課題解決型高度医療人材養成プログラムの共催としておこなわれました。

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